事例研究(6):USB インターフェイス音質比較〜SoundManager vs ASIO

USB Audio

ASIO非対応USBインターフェイスをUSB対応にするドライバがある。最初はWin版のみだったが
最近、Mac対応版が発売された。おもしろい製品だと思う。Propagamma USBAudiio(国内)
ASIO化することの意味は、レイテンシーを改善すること。音質も改善されるそうだ。
実際、ユーザーの使用報告もあり、効果が確認されている。

そこで今回は、Mac OS9標準のSoundManagerとASIOの音質比較を行った。

レーベルゲートCD

2003年上半期でお気に入りの中島美嘉「Love Addict」をCDプレイヤーからアナログ録音した。
このCDは「レーベルゲートCD」で、PCにマウントするとレコード会社サイトに接続し、その
ディスクの複製回数1回は無料、2回目以降は有料となる。困ったことにMacは非対応で、CD
を入れてもマウントさえしない。一般のCDプレイヤーが必要だ。
それはともかく、曲は中島美嘉作詞・大沢伸一作曲。大沢が中島の新しい面を引き出して新鮮。
イントロのストリングス、ベースとドラム、ホーンセクションのジャズのリズム、そして中島美嘉
のハスキーで透明な声、その音域による違い、部分的に使われたリバーブなどがチェックポイント。

MSE-U33HB

まず最初に、ASIO非対応の、小型・バスパワー駆動で手軽なオンキョーMSE-U33HBで録音してみた。
(システム標準サウンドマネージャ経由)
fレンジはやや狭く、いくぶんAMラジオ的になる。しかし全体的雰囲気は悪くない。

M-Audio DUO

M-Audio DUOはASIO対応なので、SoundManagerとASIOの2種類で録音してみた。

(1) SoundManagerで録音

一聴して悪くない。MSB-U33HBよりオリジナルに近い。じゅうぶん楽しめる音質だ。

(2) ASIOで録音

次に、ASIOドライバで録音してみた。
イントロのストリングスからして「変わった」と思う。解像度が上がったのがわかる。
サウンドマネージャ版と細かく聞き比べてゆくと、いろいろ違うことがわかった。
イントロのストリングスは解像度が高く、ビブラートとリバーブの違いまで聞き取れる。
音のアタック(立ち上がり)が明瞭になる。ハイハットのリズム、弦・ホーンの「タラッ」
という合いの手の16分音符の食い付き、ヴォーカルのサ行・タ行の子音などがくっきり
すると、リズムが俄然、活きてくる。サビのリズミカルなノリ、高音部のVoの透明感もよい。
(中島美嘉って、こんなに歌うまかったんだね〜!)
ワルツのメロディーの低音域の声はやや細身でハスキー度が増す。
この曲は部分的に効果的にリバーブが使われているが、ASIOではリバーブの有無、
ドライ音とウエット音のバランスまで聞き取れる。スキャット風の部分など。

ASIO版はインスト部隊の解像度が向上し、ヴォーカルはやや細身でハスキーになる
ので、結果的に微妙にVoが引っ込んだように感じることもある。全体の情報量が増え
ているのは明らかだ。

ASIOドライバによる音質改善

ASIOドライバに音質改善のメリットがあることが確認できた。fレンジ拡大と、なに
よりも音の立ち上がりが良くなるのでリズムが明瞭になり、ノリが良くなる。
SoundManagerでは聞こえなかった16分音符が聞こえるようになるのも、主に立ち
上がり速度が速いからだ。(音価が同じ場合、アタックが鋭いほうが明瞭に聞こえる。)

他方、ASIOは微妙に音痩せするように聞こえることもある。周波数特性改善の結果
かもしれない。

全体として、サウンドマネージャとASIOの音質差はわずかなもので、大差ではない。
音質はUSBインターフェイスのハード的側面に依存する部分も大きく、ASIOドライバ
だけで飛躍的に向上する訳ではない。今回はレイテンシーチェックはできなかったが、
ASIOの第一のメリットは、やはりレイテンシー改善だろう。


今回の結論(^^)/

USBインターフェイスはシステム標準ドライバ(SoundManager)より、ASIOで使う方が
わずかに音質がよい。特にアタックの改善が大きい。


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